情報漏洩事件まとめ

オリエンタルエアの航空保安情報を持ち出しか、元管理職を書類送検…新規参入トキエアに入社

LIVEdoorニュース8月28日

長崎空港を拠点とする航空会社「オリエンタルエアブリッジ」（ＯＲＣ、長崎県大村市）の元管理職の男が、保安対策に関わる同社の営業秘密を不正に持ち出した疑いのあることが関係者への取材でわかった。
保安対策情報は、ハイジャックなど運航の安全に直結するため、極めて秘匿性が高い。国土交通省航空局は事態を重くみて、同社に再発防止策の作成を求めた。航空業界で保安対策情報の持ち出しが明らかになるのは異例。

　関係者によると、不正に持ち出したとされるのは、安全管理や安全に関する社内教育などを担当する安全推進室の管理職を務めていた男（６６）（東京都葛飾区）。
男は昨年１１月２５日頃、会社貸与のパソコンからサーバーにアクセス、同社の保安対策などに関する情報のデータを私物のＵＳＢメモリーに転送して複製し、不正に持ち出した疑いがある。



　こうした秘匿性の高い情報を閲覧できる社員は限られていたが、男は立場上、閲覧に必要なパスワードを知っていたという。



　男は同１１月末にＯＲＣを退職した直後の同１２月、国内線就航を目指して新規参入した航空会社「トキエア」（新潟市東区）に入社。
トキエアでも安全推進室の管理職に就いていたが、今回の問題を理由に降格した。男が作成に関与したトキエアの安全管理規程も作り直されたという。

　ＯＲＣが、男が退職時に返却したパソコンを調べたところ、データを持ち出した疑いが判明し、同１２月に長崎県警に被害相談した。
県警は今月９日、男を不正競争防止法違反（営業秘密領得）容疑で長崎地検に書類送検している。




　県警の調べに対し、男は容疑を認め、「次の会社の業務に役立つかもしれないと思い、持ち出した」と供述したという。
　県警や航空局は、持ち出した情報の悪用や第三者の関与はなかったとみている。

　

国交省は、重要情報が持ち出された事態の異例さに加え、男が安全に関して責任ある立場だったことも重視。ＯＲＣの情報管理に問題があったとして、再発防止を求めた。
ＯＲＣは、読売新聞の取材に、「運航の安全などに直接の影響はない」と説明した上で、「改めて社員教育を行うとともに、国交省の指示に従い、再発防止策を作成する」とした。



一方、トキエアは「本人からの報告を受けて事態を認識した。会社としての関与はなく、航空局にも報告している」としている。
ＯＲＣは、１９６１年に設立され、長崎空港と長崎県内の離島のほか、福岡、中部空港と各地を結ぶ９路線で運航している。
トキエアは２０２０年７月、新潟空港を拠点に国内線就航を目指して設立され、今年３月に新潟―札幌丘珠空港の運航計画で航空運送事業の許可を取得した。
当初は６月の運航開始を予定していたが、乗務員の訓練に時間を要するなどの理由で３度延期され、９月以降となる見通し。



今回の情報持ち出しについて、航空局は「トキエア側に問題はなく、就航への影響はない」としている。


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